Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

小黒世茂『九夏』

小黒世茂『九夏』評 笹川諒 「玲瓏」所属の著者の第六歌集。 しづみゐし空母信濃に白骨をゆらすかそかな水流あらむ 雲つぎつぎ雲をうみだす南端のちひさな石碑にしらゆり挿せり 歌集のタイトルでもある「九夏」という一連より。第二次世界大戦中に撃沈され、…

「流動」8首(「短歌人」2021年8月号)

流動 笹川諒 青空にブローチの針を刺すような痛みのことをうまく言えない 自然体を意識するほど最寄り駅のサイズはいつもと違って見える 梅雨の月 水に近づく生き方と遠ざかる生き方とそのほか 十四、五年を滴らせつつやって来るから亀って夢の中ではこわい …

20代・30代会員競詠 8首(「短歌人」2022年8月号)

20代・30代会員競詠 8首 笹川諒 神に鬱きざして春のひとしれず青く塗られてゆくハーモニカ 自分の性格がわからない川沿いの桜に首を絞められながら わたしがいちばん図形だったとき、梅田でも迷うことはなかった 少しだけ歴史を信じるのもいいね旅の終わりに…

トークイベント「水の聖歌隊は鬼と踊る」開催

6/12(日)に梅田Lateralさんでトークイベント「水の聖歌隊は鬼と踊る」を開催します。笹川諒『水の聖歌隊』・三田三郎『鬼と踊る』の二冊の歌集を、土岐友浩さんをまじえて読み解きます。 詳細は下記のリンクよりご確認ください。 lateral-osaka.com

暮田真名さんの川柳について書いたもののまとめ

暮田真名さんの川柳について、過去に書いたものをまとめてみました。 どうしたら備長炭へご挨拶/暮田真名 意味不明なことを言っているように見えて、不思議と整合性がある。「備長炭」という単語の字面や響きのいかめしさ、実物のビジュアルの無骨な感じは…

1月31日の日記

短歌でお世話になっていた方の訃報を立て続けに聞いて、気持ちが沈んでいる。 小川佳世子さん 2018年頃から超結社の歌会でたびたびご一緒していた。僕の歌が1票とかのときに、小川さんが票を入れてくださっているということが不思議と何回かあった。そういう…

最近の活動まとめ(2022年)

最近の活動まとめ(2022年9月27日更新) ※2021年はこちら→最近の活動まとめ(2021年) - Ryo Sasagawa's Blog ☆短歌作品 ・20代・30代歌人競詠 8首(「短歌人」2022年8月号) ・「長崎小景」7首(「短歌研究」2022年5月号) ・「メゾン野放図」10首(「西瓜…

MITASASA増刊号(歌集を読む!編7)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編7)の配信を開始しました! 今回はPDFでの公開も行っておりますので、お好きな方法でお読みいただけましたら幸いです。 三田三郎『鬼と踊る』の、13名による一首評です。 【寄稿者のみなさま(五十音順・敬称略)】 大橋なぎ…

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『鬼と踊る』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編7)の原稿を募集いたします! これまで六回にわたり、歌集を読む!編のネプリを発行してきましたが、七回目となる今回は、三田三郎第二歌集『鬼と踊る』(左右社、2021年)の一首評企画を行います。 新型コロナウイルス感染…

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第三回:笹川諒「第二歌集での進化」

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第三回:笹川諒「第二歌集での進化」 1日を2万で買ってくれるなら余生を売ってはいさようなら 足痛いふりして歩く足痛い方が健康なような気がして ほろ酔いで窓辺に行くと危ないが素面で行くともっと危ない 第一歌集の『…

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第二回:岡本拓也「資本論」

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第二回:岡本拓也「資本論」 七に二をたしゃ九になるが 九になりゃまだまだいい方で 四に四をたしても苦になって 夢は夜ひらく と三上寬が「夢は夜ひらく」で歌っているのを、三田三郎という、その名に含まれた数字を掛け…

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第一回:多賀盛剛「千鳥足の菩薩」

三田三郎『鬼と踊る』リレー推薦文 第一回:多賀盛剛「千鳥足の菩薩」 千鳥足で来世へ向かう人間を輪廻からつまみ出すピンセット 鬼と踊るは、さいごこの短歌でおわる、 古代インドには因果応報ていうかんがえがあった、すべてのことには原因があるてかんが…

MITASASA増刊号(歌集を読む!編6)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編6)の配信を開始しました! 今回はPDFでの公開も行っておりますので、お好きな方法でお読みいただけましたら幸いです。 笹川諒『水の聖歌隊』の、19名による一首評です。 【寄稿者のみなさま(五十音順・敬称略)】 秋月祐一…

橘夏生『セルロイドの夜』の、好きな歌10首

「短歌人」の橘夏生さんの第三歌集、『セルロイドの夜』。六花書林、2020年。 巴里のふゆ書割りめきて羞(やさ)しきを睫毛に雪をためしリセアン 朱(あけ)の甍に雲すぎゆきぬサンタ・マリア・デル・フィオーレに春を残して 雨の朝上海に死すことのほか希ひ…

橘夏生『大阪ジュリエット』の、好きな歌10首

「短歌人」の橘夏生さんの第二歌集、『大阪ジュリエット』。青磁社、2016年。 けふもまた「恋は水色」の音にのつてわらびもち売り来たる不可思議 二十三階のバルコニーにて川本くんを待つわたしは大阪ジュリエット 都こんぶ嚙みつつおもふ夜の底森茉莉にさへ…

橘夏生『天然の美』の、好きな歌10首

「短歌人」の橘夏生さんの第一歌集、『天然の美』。雁書館、1992年。 羅(うすもの)をまとへばつねに身になじむわたくしといふ存在はこれ なだらかな雲の波なすアルペジオわがために来し夏ぞとおもふ 性愛なぞに誰が惹かれる湯の底でわがくるぶしがうすく光…

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『水の聖歌隊』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編6)の原稿を募集いたします! これまで五回にわたり、歌集を読む!編のネプリを発行してきましたが、六回目となる今回は、笹川諒第一歌集『水の聖歌隊』(書肆侃侃房、2021年)の一首評企画を行います。 新型コロナウイルス…

『水の聖歌隊』感想・書評などまとめ

『水の聖歌隊』(書肆侃侃房)にいただいた感想・書評などをここにまとめています。 (2022年8月20日更新) ○雑誌・新聞など ・内山晶太さん 角川「短歌」2021年4月号 「歌壇時評」 ・江戸雪さん 「NHK短歌」2022年9月号「恋をしたなら」 ・生沼義朗さん 「…

「投手としての笹川さん」三田三郎

投手としての笹川さん 三田三郎 笹川さんはまず、ピッチングの基本であるストレートが素晴らしい。そして、笹川さんのストレートは、打者の手元で微妙に動く今はやりの「ツーシーム」ではなく、ボールの縫い目にしっかりと指をかけて投げる、回転が美しく打…

最近の活動まとめ(2021年)

最近の活動まとめ(2021年12月3日更新) ※2019年以前はこちら→最近の活動まとめ(2019年) - Ryo Sasagawa's Blog ※2020年はこちら→最近の活動まとめ(2020年) - Ryo Sasagawa's Blog ☆短歌作品 ・「素描」20首(「うたとポルスカWeb」) 【短歌20首】素描 …

第一歌集『水の聖歌隊』発売!

書肆侃侃房さんの新鋭短歌シリーズ(第5期)の一冊として、 第一歌集『水の聖歌隊』を刊行することになりました! 監修・解説:内山晶太さん、装画:坂月さかなさんです。 発売日は2月7日ですが、既にAmazonから予約が可能です。 お読みいただけましたら嬉し…

MITASASA増刊号(歌集を読む!編5)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編5)の配信を開始しました! 今回はPDFでの公開も行っておりますので、お好きな方法でお読みいただけましたら幸いです。秋月祐一さんの歌集『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』の、10名による一…

ネプリ『MITASASA』第15号

ネットプリント『MITASASA』の第15号、配信開始しました!(~2020年11月29日) 今回は三田三郎さんの短歌+エッセイです。 ☆短歌+エッセイ 三田三郎「アイム・ジャスト・ワーキング」 【出力方法】 セブンイレブン→22249882 ローソン他コンビニ→45QEQLPQQ7…

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編5)の原稿を募集いたします! 第一回:大橋弘『既視感製造機械』 MITASASA増刊号(歌集を読む!編) - Ryo Sasagawa's Blog 第二回:三田三郎『もうちょっと生きる』 MITASASA増刊号(歌集を読む!編2) - Ryo Sasagawa's B…

最近読んだ本

☆吾峠呼世晴『鬼滅の刃』1~3巻(集英社、2016年) 先日、『鬼滅の刃』の映画(「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」)を観に行った。漫画もアニメもどちらもノータッチで、『鬼滅の刃』に関する知識は皆無だったけれど、これだけ流行っているとさすがにどんな…

10月14日の日記

かにぱん かわいいものはさみしい。そう思うようになった瞬間を、どういうわけか鮮明に覚えている。それはある朝「かにぱん」を食べたときだ。かにぱんとは、かわいい蟹のイラストが描かれた袋に入った、蟹の形をしたパンのこと。製造元のホームページを見る…

別バージョンのあとがき

セント・ポール大聖堂、ウエストミンスター大聖堂、少し足を伸ばしてカンタベリー大聖堂。そして美術館にも。テート・モダン、テート・ブリテン、ナショナル・ギャラリー、等々。毎日ひたすら大聖堂と美術館に通った夏のことは、よく思い出す。 誰でも一つか…

『ぱんたれい』vol.2販売情報(随時更新)

【『ぱんたれい』vol.2販売情報 2021年12月13日更新】 第八回文学フリマ大阪(2020年9月6日)にて初売りした『ぱんたれい』vol.2の販売情報です。手元の在庫が尽きたので、BOOTHでの販売は終了になります。 現在、以下の書店さんに置いていただいております…

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)の配信を開始しました! 今回はPDFでの公開も行っておりますので、お好きな方法でお読みいただけましたら幸いです。法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』の、15名による一首評です。 【寄稿者のみなさま(五十…

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『それはとても速くて永い』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)の原稿を募集いたします! 第一回:大橋弘『既視感製造機械』 MITASASA増刊号(歌集を読む!編) - Ryo Sasagawa's Blog 第二回:三田三郎『もうちょっと生きる』 MITASASA増刊号(歌集を読む!編2) - Ryo Sasagawa's B…