Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「ぱんたれい」同人

橘夏生『大阪ジュリエット』の、好きな歌10首

「短歌人」の橘夏生さんの第二歌集、『大阪ジュリエット』。青磁社、2016年。

 

けふもまた「恋は水色」の音にのつてわらびもち売り来たる不可思議

 

二十三階のバルコニーにて川本くんを待つわたしは大阪ジュリエット

 

都こんぶ嚙みつつおもふ夜の底森茉莉にさへ子がありしこと

 

訪れるひとなき家に閉ざされてココアの粉の散るゆふべかな

 

きみの背にほくろの星座見つけたり世界が終はるならこんな夜

 

天国ならどこにでもある新世界の串カツ屋の列にふたり並んで

 

寡婦われはゆめに檸檬を売りながら雨ふりしきるアッサムをゆく

 

ウォッカを喇叭飲みしてデンデラ野ゆく老婆はたしかにわたくし

 

オートバイを真紅の薔薇で埋めたりしアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ

 

肢もとにともるペディキュア 最下級貴族のやうに街を歩かう

 

 

※以前書いた歌集の感想→橘夏生『大阪ジュリエット』 - Ryo Sasagawa's Blog

 

大阪ジュリエット―歌集

大阪ジュリエット―歌集