Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『短歌人』2018年7月号の、好きな歌10首(会員欄)

今朝ひとつ覚悟のようなかなしみが風に揺れたりテッポウユリよ(高良俊礼) 降る音が雨と気づけり薄闇の小さき神社に我が耳ふたつ(古賀大介) あゆみよることですか はい。がいじんの配るカレーのビラも受け取る(鈴木杏龍) 忘れずにいてほしいのは約束じ…

『うたつかい』29号から、好きな歌10首

宇宙人を殺めるような勢いが大事なのです採点業務は(牛隆佑) 親知らず抜かれし痕を舌先になぞれば壊れてゆく鰯雲(太田宣子) 君の名を呼ぶのをやめてしあわせと似ている場所で暮らしています(きつね) 春よりも苦手になつたひとに買ふやはらかくないはう…

小佐野彈『メタリック』

巻末の野口あや子さんの解説に「異色の経歴に見落とされがちな、この折り目正しい定型観とたしかな描写は、おそらくここ数年の若手歌人にはなかったものだ。作歌意識はむしろ古典的と言える」とある。これはまさにその通りで、ここ最近歌集をあまり読めてい…

佐藤弓生『世界が海におおわれるまで』

佐藤弓生さんの第一歌集を読んだ。これまでの経験上、歌集なら第一歌集、小説ならデビュー作が結局一番好き、という作家さんが多かったけれど、佐藤さんの場合、第一、第二、第三歌集と重ねるにつれて、表現の幅が広がり、詩的深度も増しているし、何よりも…

『短歌人』2018年6月号の、好きな歌10首(会員欄)

異国では誰かがひとり涙する君がくしゃみをひとつするとき(鈴掛真) 鈍感になればなるほど浮いているような心地のカフェテリア内(小玉春歌) 見えているもののすくなさ 卓上の春雨炒めぎらぎらし過ぎ(相田奈緒) 戸口にて夢見るやうに取り落とす。鍵に映…