Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

『短歌人』

『短歌人』2018年6月号の、好きな歌10首(会員欄)

異国では誰かがひとり涙する君がくしゃみをひとつするとき(鈴掛真) 鈍感になればなるほど浮いているような心地のカフェテリア内(小玉春歌) 見えているもののすくなさ 卓上の春雨炒めぎらぎらし過ぎ(相田奈緒) 戸口にて夢見るやうに取り落とす。鍵に映…

『短歌人』2018年5月号の、好きな歌10首(会員欄)

飲食は娯楽にあらずひとの子も なまごみしるがくろきすじひく(鈴木杏龍) 水を盛る器としての手の窪みふたつ合わせて顔洗いおり(たかだ牛道) 朝が来て帰ってしまうのがいやでワイシャツのボタンを取った 全部(古賀たかえ) 有限の私の中にまたひとつ新規…

『短歌人』2018年4月号の、好きな歌10首(会員欄)

病院の待合おほかた診察を終へてわれのみわが犬待てり(伊地知順一) 今朝の雨ほそく光りて花に降る君も私を通り過ぎたり(高良俊礼) にんげんがいない よ みちにめがね屋のナイロン製のはたのはためき(鈴木杏龍) 熱湯がシンクを鳴らし焼いてないのに焼き…

水について

先日、短歌関係の友人と話していて、「短歌によく登場させる言葉とかモチーフって何?」という話になった。僕が普段から短歌を作ることに対して、あまり能動的じゃない(紙やPCに向かって、さあ今から短歌を作るぞ、ということはほとんどない。残念ながら、…

『短歌人』2018年3月号の、好きな歌10首

武器と楽器 枝分かれしてそれぞれに求めてゆけり逢ふべきひとを(阿部久美) 春寒の排水溝にはあかぐろき薔薇のはなびらみずに動けり(内山晶太) やむきみとしりつつ断てばそれきりの冬椿 はるはやくこないか(鈴木杏龍) 金魚たちこつりこつりと喉の奥にあ…

『短歌人』2018年2月号の、好きな歌8首

万華鏡ひとつ廻してあざやかな藍のうらがは過去となしたり (三島麻亜子) 祈る人はやがて小さな石になりその石をまた祈る人あり (古賀大介) なぜだろう昨日と似すぎている今日 時間感覚分からなくなる (上村駿介) いつからかきみ棲みたればわが胸の内た…