異国では誰かがひとり涙する君がくしゃみをひとつするとき(鈴掛真)
鈍感になればなるほど浮いているような心地のカフェテリア内(小玉春歌)
見えているもののすくなさ 卓上の春雨炒めぎらぎらし過ぎ(相田奈緒)
戸口にて夢見るやうに取り落とす。鍵に映つた朝の景色を(鈴木秋馬)
終わりなき更紗模様の世界樹よ君の描きしイグドラシルよ(笠原真由美)
照らされたさくらは汚い ガラケーで撮ったみたいで目がはなせない(浪江まき子)
いま言葉はつる植物のやわらかな曲線を描き私に触れる(千葉みずほ)
「自販機の人」と呼ばれる名前ではなくてなんだか気が楽でいい(宗岡哲也)
時間が経つまで待っているので水戸黄門から大相撲まで早くして(佐々木紬)
いちどきり川の近くに出逢ひたる樹木がありて憧れやまず(富樫由美子)
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