Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編5)の原稿を募集いたします!

 

第一回:大橋弘『既視感製造機械』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編) - Ryo Sasagawa's Blog

第二回:三田三郎『もうちょっと生きる』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編2) - Ryo Sasagawa's Blog

第三回:御殿山みなみ『モモモノローグ』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編3) - Ryo Sasagawa's Blog

第四回:法橋ひらく『それはとても速くて永い』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4) - Ryo Sasagawa's Blog

 

と、歌集を読む!編のネプリを発行してきましたが、五回目となる今回は、秋月祐一さんの第二歌集『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』(青磁社、2020年)の一首評企画を行います。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、最近読んだ歌集の話を誰かとするというのもなかなか難しい状況の中、歌集の感想を大勢で共有できる機会があれば……というのが前回までと同様、この企画の趣旨です。どなたでもお気軽にご投稿ください。

 

秋月祐一『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』は、全国大型書店・Amazon・出版社への注文等で購入可能です。

 

【MITASASA増刊号 歌集を読む!編5】

 

配信方法:

ネットプリントTwitter等でのPDF公開 (2020年12月中旬頃予定)

 

募集内容:

秋月祐一『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』から、好きな一首を選び、その歌についての200字程度の一首評(字数は、多少増減しても大丈夫です)。

※すみませんが、謝礼等はございません。ご了承ください。

 

締切:

①参加締切 2020/11/29

参加お申込みの際に、一首評をどの歌で書くかをお知らせください。希望の歌が重複した場合は、先着順にさせていただきます。

また、参加希望者があまりに多い場合は、募集を途中で締め切る場合もあります。

※参加したいけれど、どの歌で評を書くかをじっくり考えたいという方は、ひとまず参加のお申し込みをしていただき、歌の希望を11/29までに送っていただくという形でも大丈夫です。

 

②原稿締切 2020/12/6

 

参加申込み・原稿の送付:

Twitterの場合→MITASASAのアカウント(@ms_yogisha)宛にDM

メールの場合→ryo.ryo.ryo514☆gmail.com (☆を@に)

 

たくさんのご投稿、お待ちしております!

 

(以下、秋月祐一『この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく』より五首抜粋)

桃をもらひ礼状を書くこの夕べいつもより字をていねいに書く

旅先で買つた文庫のブックカバー今もつけてる旅のつづきを

踏み抜いた夢のうちそと ぼくたちはゐるゐるゐないゐないゐるゐない

透明な生き物図鑑をながめつつ何度「負けた」とおもつたことか

ちぷたぷと緩衝材を潰してるちぷたぷ、きみはおでこ広いな

 

最近読んだ本

吾峠呼世晴鬼滅の刃』1~3巻(集英社、2016年)

 

 先日、『鬼滅の刃』の映画(「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」)を観に行った。漫画もアニメもどちらもノータッチで、『鬼滅の刃』に関する知識は皆無だったけれど、これだけ流行っているとさすがにどんな作品なのかと気になってしまう。

 映画自体は普通に面白かった。個性豊かな仲間と助け合い、自分自身を鼓舞しながら、困難に立ち向かっていく主人公たちの姿は感動的で、とても健全な作品だと思った。映画を観たと知人に話したら、原作の漫画もぜひ読んだ方がいいよと言われたので、早速一巻から読んでみることにした。

 やはり漫画の方が心理描写も細かく、映画とはまた少し異なる印象だ。個人的には、死刑制度の是非について考えさせられた。主人公の炭治郎に殺されていく鬼たちは、元々は人間だった。しかも自分の意思で鬼になったわけではなく、何らかのきっかけで鬼の血を浴びてしまい鬼と化してしまったのだ。鬼の主食は人間なので、生きていくには人を食べるしかない。それゆえ、炭治郎によって、何人もの人を殺しておいて許すことはできない、と成敗されることになる。もちろん炭治郎も事情はわかっていて、倒した鬼が息を引き取る瞬間は、「神さまどうか この人が今度生まれてくる時は 鬼になんてなりませんように」と祈りながら看取るのだ。何人もの人を無差別に殺す「鬼」のような人間は、アニメの世界だけの話ではなく、現実世界にも存在する。じゃあその人たちを「鬼」だからといって、死刑にしてしまっていいのか。あるいは、「鬼」がまだ少年だった場合は、罪に問わなくていいのか。そういうようなことを思った。

 まだ三巻までしか読めていないので、続きを読み進めていこうと思う。主要キャラが結構死ぬという話を噂で聞いていたけれど、ネットで検索したら(推しの)善逸は途中で死なないことが判明したので、安心して読めそうだ。

 

菅広文『京大芸人』(講談社、2008年)

 

 図書館に行くとたいてい、これは極力最後まで読み終えてから返却しようと思う本を一、二冊と、もし時間があったら読みたい本を貸出可能な冊数の上限まで(実際読む時間はなかなかないだろうな……と薄々思いながらも)借りる。『京大芸人』は、後者の本として借りた。図書館へ出かける直前にロザンのお二人(宇治原さんと菅さん)が出ている大阪ガスのCMをたまたま見て、二人ともなんかすごくいい笑顔だな、と思ったのがきっかけだった。テレビは普段ほとんど見ないので、この本を読むまでは、仲良しコンビとして知られてる芸人さんだっけ、くらいのことしか知らなかった。

 この本は、菅さんが、相方の宇治原さんが京大に合格し「京大芸人」になるまでの軌跡を、エッセイ風の小説という形で綴ったものだ。家に帰って本をパラパラとめくっていたら、高校時代に二人がお笑い芸人を目指すことを決めた場面で手が止まった。「芸人なれへん?」と菅さんが突然言いだして、宇治原さんからその理由を訊かれるのだけれど、その理由が、「おまえとしゃべってるの楽しいし、このまましゃべってるのが仕事になったら一番いいやん?」とのことなのだ。それに対して宇治原さんは「そやな。やろか?」と即答する。この二人、本当に仲が良い。

 この本には宇治原さんの学生時代のエピソードがたくさん書かれている。こんな話、普通本人以外知らないのでは、というような話もいっぱい出てきて、それを(宇治原さんではなく)菅さんが書いているということに驚く。各エピソードの面白さはもちろん、それだけ何でも話せる関係なんだなということが伝わってきて、とても好感を持った。結局、最初のページから改めてちゃんと読み直して、続編の『京大少年』も後日借りてきて面白く読んだ。こういう気まぐれな読書を、時々は楽しみたい。

10月14日の日記

 かにぱん

 

 かわいいものはさみしい。そう思うようになった瞬間を、どういうわけか鮮明に覚えている。それはある朝「かにぱん」を食べたときだ。かにぱんとは、かわいい蟹のイラストが描かれた袋に入った、蟹の形をしたパンのこと。製造元のホームページを見ると、「かわいいかにのかたちをした人気者! ほんのり甘くシンプルな味わいです」と説明がある。大学の頃、朝食はたいてい、前日の夜にコンビニで何かひとつパンを買っておいて、それを食べていた。かにぱんを食べるのはその朝がはじめてだったと思う。

 当時付き合っていたひとが、前日の夜から僕のアパートに泊まりにきていた。だからコンビニでパンを買ったときは、そのひとも一緒にその場にいた。別に二人でかにぱんを選んだとかではなく、僕がいつも通り翌朝のパンをひとりで適当に選んで買っただけなのだけれど、いつもは食べない妙にかわいいパンを手に取ったときの僕は、今思えば少し浮かれていたかもしれない。

 そのひとが一限の授業へ行くために朝早く家を出ていったあと、僕は朝食をとることにした。コンビニのビニールからかにぱんを取り出し、いつものようにぼんやり食べはじめる。ところが、パンの袋に描かれた無垢な蟹のキャラクターに何気なく目をやりながらパンを頬張っていると、急に涙がぼろぼろこぼれてきた。どうしてパンを食べているだけなのに泣かなくてはならないのか、咄嗟にはわからなかった。

 かわいいものというのは、いかなるときも、他者のまなざしの存在を前提とする。あるものを見て「かわいい」と思う他者がいてはじめて、そのあるものは「かわいいもの」ということになるからだ。その付き合っていたひとと僕はおそらく、お互いのかわいいところ、言わばかにぱんのような部分だけをそれまでずっと見せ合っていたのだということに気付いた。そういう関係はいつまでも続くものではない。そもそも、「かわいい」はあまりに主観的だ。僕が誰か(何か)をかわいいと思うとき、そのかわいさが僕の存在なしには保証されないなんて、とてもやりきれない。そういうようなことを一気に直感して、そのときの僕は泣いてしまったのだった。

 結局、そのひととはそれから半年後くらいに別れてしまったけれど、そのかにぱんの朝以来、かわいいものを見るとよくさみしいと思うようになり、そんなときは必ずかにぱんを思い出してしまうようになった。かわいいものはさみしい。そしてそのさみしさは僕の脳内で、いつもかにぱんの形をしている。

別バージョンのあとがき

 セント・ポール大聖堂ウエストミンスター大聖堂、少し足を伸ばしてカンタベリー大聖堂。そして美術館にも。テート・モダン、テート・ブリテン、ナショナル・ギャラリー、等々。毎日ひたすら大聖堂と美術館に通った夏のことは、よく思い出す。

 誰でも一つか二つくらいは様々な理由で特別に愛着があって、もはや前世からの因縁でもあるのでは、というくらい少し不思議な距離感の中で抱えもっている(単語レベルでの)言葉というのがあるのではないだろうか。僕は「聖歌隊」という言葉と、そのような関係を取り結んでいる。そのきっかけは学生時代のこと。大学院の修士一年の夏休み、二週間ちょっとロンドンに滞在した。その年の六月に、大学一年の四月から親しくしていた同じ学部(文学部)の友人が急逝するというできごとがあった。彼はそのとき23歳だったと思うから、それはもう夭折としか言いようがなくて、そしてこれは敢えて言うべきことではないと思いつつも、そのひとはとてもうつくしいひとだった、という事実が、このできごとの衝撃を少なからず強めていたことは、今思い返しながらはっきりとわかる。

 当時、大学院に入ったばかりで、これから文学の研究を真剣にやっていかなければと思っていた矢先、古今東西の文学作品に匹敵するような、というよりむしろ、実感としてはそれらを凌駕するほどの現実に直面してしまった僕は、とても混乱した。漠然とした例にはなるけれど、ヘッセ『車輪の下』、福永武彦『草の花』、萩尾望都トーマの心臓』とか、そのあたりの作品に書かれていることのエッセンスをまさに孕みつつ、現実が目の前で次々と、そして過度なくらい象徴的に展開していく感じがあったのを覚えている。とりあえず、現実からできるだけ遠くに一旦逃げなければ、というわかりやすい防衛機制にしたがい、研究の一環ということにして、ロンドンに発つことにした。大学生協で可能な限り早い日程のチケットを用意してもらった。

 ロンドンではホームステイをして、午前中は語学のレッスンに通った。午後からはフリーだったから、大聖堂や美術館に行って、何をするでもなく、ひたすら放心していた。ある日、とある大聖堂の椅子に何時間もぼんやりと座って、跪いて祈る人々を遠目に眺めていたことがあった。もし自分が祈るにしても、この場所での祈りの作法も、何を祈ればいいのかも、どの神様に対して祈ればいいのかもわからなかった。聖歌隊の歌声を初めて生で聴いたのは、そのときだった。どうやらその大聖堂では、決められた時間に聖歌隊の歌の披露が行われているらしかった。子どもたちの歌声が自分の中にあまりにも自然に流れこんできて、直感的に、この歌声は水だと思った。その体験を境に、止まっていた色んなものが、なぜだか少しずつ動きはじめていったように思う。

 

 優しさは傷つきやすさでもあると気付いて、ずっと水の聖歌隊/笹川諒

 

 この短歌は『短歌人』に月例作品として掲載してもらい、高良俊礼さんからブログを通して次のような評をいただいた。

 

水の聖歌隊、この美しい言葉に出会う前に、この人の内なる言葉はどんな場面を泳いできたのか、そしてどれだけ傷付いてきたのだろうかと思わせるし、そう思ったら何だか胸が切なく締め付けられます。(短歌人会員秀歌2016年9月号 | アンダーカレント ~高良俊礼のブログ

 

 さっき書いた一連の体験に関わる具体的なことは、歌の中には何ひとつ書いていない(何なら、ロンドンでの体験を忠実に詠った歌というわけでもない)。それでも、言葉をひとつひとつ選択し、短歌という形の文字列にして読み手に手渡したときに、何か本質的なことが伝わることがあるということを、この評を読んで知ることになった。詩の言葉の持つ力を、もっと信じてみようと思った。

 

 

 

 そんなこんなで、第一歌集のタイトルは『水の聖歌隊』に決めました。歌集のあとがきにはあまり自分のことは書きたくなくて、でも、タイトルを決める上でその理由を一度言語化しておこうと思って書いていたら意外と長文になってしまったので、ブログに載せてみました。歌集、よろしくお願いします……!

『ぱんたれい』vol.2販売情報(随時更新)

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【『ぱんたれい』vol.2販売情報 2023年5月19日更新】

 

第八回文学フリマ大阪(2020年9月6日)にて初売りした『ぱんたれい』vol.2の販売情報です。手元の在庫が尽きたので、BOOTHでの販売は終了になります。

 

現在、以下の書店さんに置いていただいております。増刷は予定しておらず、在庫は書店さんの店頭にある分で全部になりますので、ぜひお早めにご購入ください……!

 

☆購入可能な書店 ※敬称略

 

・がたんごとん(北海道)⇒完売

通販→ぱんたれいvol.2 | がたんごとん

・古書ソオダ水(東京)⇒完売

通販→ぱんたれい vol.2 - 古書ソオダ水

・七月堂(東京)⇒完売

通販→ぱんたれいvol.2【新本】 | 七月堂古書部

・梅田蔦屋書店(大阪)⇒完売

通販→ぱんたれいvol.2 :BUSI2504961030253J:梅田 蔦屋書店 ヤフー店 - 通販 - Yahoo!ショッピング

・葉ね文庫(大阪)

通販→info@hanebunko.com、090-9271-3708

ホームページ→葉ね文庫 | 大阪の古本屋(歌集・サブカル・小説)

・本屋ルヌガンガ(香川)⇒完売

通販→「ぱんたれい」vol.2 | 本屋ルヌガンガ ネットショップ

・本のあるところ ajiro(福岡)⇒完売

 

 

※『ぱんたれい』vol.1と三田三郎『もうちょっと生きる』は、引き続きBOOTH(ぱんたれい - BOOTH)にて販売中です。

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)の配信を開始しました!

今回はPDFでの公開も行っておりますので、お好きな方法でお読みいただけましたら幸いです。法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』の、15名による一首評です。

 

【寄稿者のみなさま(五十音順・敬称略)】

大橋弘岡本拓也、来栖啓斗、郡司和斗、笹川諒、鈴木智子、多賀盛剛、土井礼一郎、道券はな、中山奈々、西村曜、沼尻つた子、平出奔、三田三郎、山下翔

 

 【PDFへのリンク】

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4).pdf - Google ドライブ

 

【ネプリ出力方法】

セブンイレブン→26804031

ローソン他コンビニ→45QEQLPQQ7

A3・白黒・両面(短辺or横とじ)で40円です。8月25日火曜日まで。

 

【歌集の購入について】

全国大型書店・Amazon等で購入可能です。

原稿募集のお知らせ(MITASASA増刊号・『それはとても速くて永い』)

MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)の原稿を募集いたします!

 

第一回:大橋弘『既視感製造機械』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編) - Ryo Sasagawa's Blog

第二回:三田三郎『もうちょっと生きる』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編2) - Ryo Sasagawa's Blog

第三回:御殿山みなみ『モモモノローグ』

MITASASA増刊号(歌集を読む!編3) - Ryo Sasagawa's Blog

と、歌集を読む!編のネプリを発行してきましたが、四回目となる今回は、新鋭短歌シリーズの一冊、法橋ひらくさんの歌集『それはとても速くて永い』(書肆侃侃房、2015年)の一首評企画を行います。

 

コロナの影響で、最近読んだ歌集の話を誰かとするというのもなかなか難しい状況の中、歌集の感想を大勢で共有できる機会があれば……というのが前回までと同様、この企画の趣旨です。どなたでもお気軽にご投稿ください。

 

法橋ひらく『それはとても速くて永い』は、全国大型書店・Amazon等で購入可能です。

 

【MITASASA増刊号 歌集を読む!編4】

 

配信方法:

ネットプリントTwitter等でのPDF公開 (2020年8月中旬頃予定)

 

募集内容:

法橋ひらく『それはとても速くて永い』から、好きな一首を選び、その歌についての200字程度の一首評(字数は、多少増減しても大丈夫です)。

※すみませんが、謝礼等はございません。ご了承ください。

 

締切:

①参加締切 2020/8/2

参加お申込みの際に、一首評をどの歌で書くかをお知らせください。希望の歌が重複した場合は、先着順にさせていただきます。

また、参加希望者があまりに多い場合は、募集を途中で締め切る場合もあります。

※参加したいけれど、どの歌で評を書くかをじっくり考えたいという方は、ひとまず参加のお申し込みをしていただき、歌の希望を8/2までに送っていただくという形でも大丈夫です。

 

②原稿締切 2020/8/9

 

参加申込み・原稿の送付:

Twitterの場合→MITASASAのアカウント(@ms_yogisha)宛にDM

メールの場合→ryo.ryo.ryo514☆gmail.com (☆を@に)

 

たくさんのご投稿、お待ちしております!

 

(以下、法橋ひらく『それはとても速くて永い』より五首抜粋)

冬がくる 空はフィルムのつめたさで誰の敵にもなれずに僕は

生きるのはたぶんいいこと願いごと地層のように重ねてゆけば

案の定バスは遅れてきたけれどちょうど良かった 乗りたくなった

思うこと絶えない夜にまちがって押してしまったコーンポタージュ

黄金の羊を抱いて会いにゆくそれからのことは考えてない 

それはとても速くて永い (新鋭短歌シリーズ)

それはとても速くて永い (新鋭短歌シリーズ)

  • 作者:法橋ひらく
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)