秋深く明朝体のこころもてクラリネットの音色を聴けり(冨樫由美子)
道路工事の脇の花壇の花のうえ上着がのっているたたまれて(浪江まき子)
合格も赤点もない日々のため今夜はカレーライスをつくる(葉山健介)
皆が皆じぶんは悪くないという顔をならべた黄菊の黄色(川村健二)
これはどこの枯野に落ちた芙蓉花 世界が消えゆくまでを眺むる(高良俊礼)
影響を受ける相手を選びながらポインセチアに金色の紐(相田奈緒)
コピー機の光が体に悪そうで浴びようとする新入社員(空山徹平)
朝日さす石には石の高さありわが影もまた等しく伸びる(安野文麿)
冬の日に飴玉が固くなるようにあなたの隣で肩をすぼめる(髙橋小径)
手術中にみる夢を録画してみたい映画にして公開してやりたい(古賀たかえ)
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