今日2月22日は猫の日ということで、ここ1~2年で読んだものの中から、好きな猫の短歌を集めました。
春の世はかずかぎりなき猫の毛が猫におわかれしてゆくところ
/内山晶太「ギンビス」『外出』創刊号
猫たちは永遠に猫 夕焼けや朝焼けのそこぢからにつつまれて
/大森静佳「数えきれないうつくしい穴」『Sister On a Water』vol.2
いつかふたり夜のプールに見たひかる眼の猫あれは義賊だったね
/笠木拓『はるかカーテンコールまで』
旅をしようよものすごくにらむ猫の耳に西日が当たっている
/国東杏蜜『短歌人』2019年4月号
花束をかかえるように猫を抱くいくさではないものの喩えに
/笹井宏之『八月のフルート奏者』
ゆうぐれに吹かれてすごす猫の目にすきとおってゆく僕のアネモネ
庭先のまるい日向にまどろめる明治を知つてゐるやうな猫
/林和清『去年マリエンバートで』
チェシャ猫のあると思えば消える背をずっと歩いてきたようでした
/平岡直子「鏡の国の梅子」『外出』二号
お布団の地平線からずんずんと猫現れて猫迫りくる
/枇杷陶子「毎日歌壇」2019年6月24日 伊藤一彦選
草食んでぢつとしてゐる夜の猫とほいなあ いろんなところが遠い
/山下翔『温泉』