図書館へ徒歩でゆくとき雨傘もレインブーツも葡萄酒のいろ(冨樫由美子)
一粒の雨水ほどの面積でいいからずっと触れていたいよ(鈴掛真)
夢に出たスウェーデン人が言うのだが「君の人生は固まったまま」(いばひでき)
魂に栞を挟む箇所はなく午前のどこもかしこも白雨(高良俊礼)
夏の海はひるをすぎるとすこしねる今なら背からかるくえぐれる(国東杏蜜)
足でリズムを刻む音楽少年の顔にときおり幻の蝶(千葉みずほ)
目の前が裸足になって駆けてゆく、川のひかり、ひかりに濡れて(鈴木秋馬)
生き方を変えるためにする歯ブラシは右に左にオレンジがうごく(佐々木紬)
たましいをひと千切りして置いていくこれはわたしが選んだ別れ(姉野もね)
お願いがあります線路に立ち入るな電車が止まるとドトールが混む(古賀たかえ)
※掲載ページ順です。万一誤字・脱字等ありましたら、すみません。