秋という祈りの中に紫木蓮はぐれて一枝間の抜けた空(高良俊礼)
毎晩の眠りが日々の趣味となり安らぎゆくは死の練習か(いばひでき)
ひまわりじゃなかったダンデライオンのたてがみしわがれはててもう、秋(鈴木杏龍)
甥っ子が庭でバットを振っている何か言おうとしたけどやめた(宗岡哲也)
虫になったり虎になったりするけれど夢の中では人間になる(千葉みずほ)
違うと泣く子の声がしてわかりたい皿のごはんをフォークで食べる(浪江まき子)
太陽の塔の中身が見られるという塔の中身で裏返る(国東杏蜜)
エジプトの駅という名のアルバムをポールが出した二〇一八(相田奈緒)
きりのない懺悔のように引っ越しの荷を積みあげる さようなら街よ(葉山健介)
部屋ぬちにものを読み書きして過ぐすひと日ひと日で編む花鎖(冨樫由美子)
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