少年が光線(ひかり)の中をよぎり来てわれにものいう双腕を垂り(北岡晃)
ひまわりの背丈こえたらあとはもう、ただ、もう、ひとりびとりの道途(鈴木杏龍)
出身を聞けば「火星」と真剣に答えるような男の寝顔(鈴掛真)
満ちてゆく今朝の木漏れ日葉脈を巡ればひかりいま夏の色(高良俊礼)
缶コーラおごってくれる父のいて夏しゅわしゅわと定型にあり(古賀大介)
蝉よ蝉、SF的な御茶ノ水。われ泣きぬれてぢつと手をみる(いなだ豆乃助)
フロアには大きな光の輪が回り曼荼羅のよう 僕らは踊る(空山徹平)
1ぴきとひとりの止まる道のうえ白くて太いひらがながある(相田奈緒)
昼ならば青空だろう真っ黒な空にかざしている500円(山川創)
落ちてきたような雀がちゃんと立つ 曇り日の昼休みの路地に(山本まとも)
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