「短歌人」の橘夏生さんの第二歌集、『大阪ジュリエット』。青磁社、2016年。
けふもまた「恋は水色」の音にのつてわらびもち売り来たる不可思議
二十三階のバルコニーにて川本くんを待つわたしは大阪ジュリエット
都こんぶ嚙みつつおもふ夜の底森茉莉にさへ子がありしこと
訪れるひとなき家に閉ざされてココアの粉の散るゆふべかな
きみの背にほくろの星座見つけたり世界が終はるならこんな夜
天国ならどこにでもある新世界の串カツ屋の列にふたり並んで
オートバイを真紅の薔薇で埋めたりしアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
肢もとにともるペディキュア 最下級貴族のやうに街を歩かう
※以前書いた歌集の感想→橘夏生『大阪ジュリエット』 - Ryo Sasagawa's Blog