Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

最近読んだ本

吾峠呼世晴鬼滅の刃』1~3巻(集英社、2016年)

 

 先日、『鬼滅の刃』の映画(「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」)を観に行った。漫画もアニメもどちらもノータッチで、『鬼滅の刃』に関する知識は皆無だったけれど、これだけ流行っているとさすがにどんな作品なのかと気になってしまう。

 映画自体は普通に面白かった。個性豊かな仲間と助け合い、自分自身を鼓舞しながら、困難に立ち向かっていく主人公たちの姿は感動的で、とても健全な作品だと思った。映画を観たと知人に話したら、原作の漫画もぜひ読んだ方がいいよと言われたので、早速一巻から読んでみることにした。

 やはり漫画の方が心理描写も細かく、映画とはまた少し異なる印象だ。個人的には、死刑制度の是非について考えさせられた。主人公の炭治郎に殺されていく鬼たちは、元々は人間だった。しかも自分の意思で鬼になったわけではなく、何らかのきっかけで鬼の血を浴びてしまい鬼と化してしまったのだ。鬼の主食は人間なので、生きていくには人を食べるしかない。それゆえ、炭治郎によって、何人もの人を殺しておいて許すことはできない、と成敗されることになる。もちろん炭治郎も事情はわかっていて、倒した鬼が息を引き取る瞬間は、「神さまどうか この人が今度生まれてくる時は 鬼になんてなりませんように」と祈りながら看取るのだ。何人もの人を無差別に殺す「鬼」のような人間は、アニメの世界だけの話ではなく、現実世界にも存在する。じゃあその人たちを「鬼」だからといって、死刑にしてしまっていいのか。あるいは、「鬼」がまだ少年だった場合は、罪に問わなくていいのか。そういうようなことを思った。

 まだ三巻までしか読めていないので、続きを読み進めていこうと思う。主要キャラが結構死ぬという話を噂で聞いていたけれど、ネットで検索したら(推しの)善逸は途中で死なないことが判明したので、安心して読めそうだ。

 

菅広文『京大芸人』(講談社、2008年)

 

 図書館に行くとたいてい、これは極力最後まで読み終えてから返却しようと思う本を一、二冊と、もし時間があったら読みたい本を貸出可能な冊数の上限まで(実際読む時間はなかなかないだろうな……と薄々思いながらも)借りる。『京大芸人』は、後者の本として借りた。図書館へ出かける直前にロザンのお二人(宇治原さんと菅さん)が出ている大阪ガスのCMをたまたま見て、二人ともなんかすごくいい笑顔だな、と思ったのがきっかけだった。テレビは普段ほとんど見ないので、この本を読むまでは、仲良しコンビとして知られてる芸人さんだっけ、くらいのことしか知らなかった。

 この本は、菅さんが、相方の宇治原さんが京大に合格し「京大芸人」になるまでの軌跡を、エッセイ風の小説という形で綴ったものだ。家に帰って本をパラパラとめくっていたら、高校時代に二人がお笑い芸人を目指すことを決めた場面で手が止まった。「芸人なれへん?」と菅さんが突然言いだして、宇治原さんからその理由を訊かれるのだけれど、その理由が、「おまえとしゃべってるの楽しいし、このまましゃべってるのが仕事になったら一番いいやん?」とのことなのだ。それに対して宇治原さんは「そやな。やろか?」と即答する。この二人、本当に仲が良い。

 この本には宇治原さんの学生時代のエピソードがたくさん書かれている。こんな話、普通本人以外知らないのでは、というような話もいっぱい出てきて、それを(宇治原さんではなく)菅さんが書いているということに驚く。各エピソードの面白さはもちろん、それだけ何でも話せる関係なんだなということが伝わってきて、とても好感を持った。結局、最初のページから改めてちゃんと読み直して、続編の『京大少年』も後日借りてきて面白く読んだ。こういう気まぐれな読書を、時々は楽しみたい。