今回からPDF版ができた『うたつかい』。スマホで読んだり、結局印刷して紙でも読んだりして、楽しみました。その中から、特に好きな歌を10首。
毒を持つ花の切手のうらがはを疑ひもせずきみは舐めたり(有村桔梗)
女子大に通っていたい女子大は森だからつくりおわってる森(井口可奈)
「One for all, All for one!」が口癖の先生いなくなったって富良野で(上篠かける)
揺るぎないものになりたい五十年連れ添った老夫婦になりたい(瀧音幸司)
シャーペンの芯になりたい全身できみの想いを見える化したい(西淳子)
感情を使ひ果たして眠るときわれに遺作のごときため息(濱松哲朗)
左手を百合の形にひろげつつおもねる春のわたしを捨てて(藤本玲未)
色彩で話せるならばいまはもう菫色、の、濃淡ばかり(穂崎円)
花をおもうゆえに花あり晩年をおもうときみなあざやかすぎて(杜崎アオ)
硝子張りの駅舎の外は羽根がふる微熱のきみのまぶたで溶けた(カニエ・ナハ)
※掲載ページ順です。万一誤字・脱字等ありましたら、すみません。
『うたつかい』については、こちらから。