病院の待合おほかた診察を終へてわれのみわが犬待てり(伊地知順一)
今朝の雨ほそく光りて花に降る君も私を通り過ぎたり(高良俊礼)
にんげんがいない よ みちにめがね屋のナイロン製のはたのはためき(鈴木杏龍)
熱湯がシンクを鳴らし焼いてないのに焼きそばは完成される(鈴掛真)
枕のために布団を敷くのが面倒でリアクションだけでお届けしてます(加藤真弓)
幸せがうまくなってるホワイト退社からのさわやかコナミをきめて(山本まとも)
そのむかし川上弘美を貸してくれた先輩が窮地に立たされている(鑓水青子)
別れてもやさしいひとといる海辺黙れば波の音も消えそうで(空山徹平)
薄紙は雛人形を包みあり剥がすことなく過ぐる幾年(富樫由美子)
水を得た魚なるかな大量のチラシの海を子は泳ぎ出す(桃生苑子)
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