Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/短歌のことを書いていこうと思ってます。

「鯛焼きの部屋」15首

鯛焼きの部屋   笹川諒

 

 

旅のこと旅の終わりに話したい人がいる 長い旅をしている

 

 

鯛焼きを君が食べてたその日から頭のどっかに鯛焼きの部屋

 

 

国道を春から遠い方へゆく 救急車はすっと右へ曲がった

 

 

君が好き 人形劇の背景の星の座標をこっそりずらす

 

 

缶コーヒーの残り数滴を飲むときの天井はいつも何か言いたげ

 

 

君がよく食べるっていうコンビニの弁当をよく食べてみている

 

 

届けたい気持ちをふいに負わされた紙ヒコーキの柄のポロシャツ

 

 

病院にいるとき僕は少しだけ幼稚園の砂場を思い出す

 

 

暗闇に鳩の刺繍を ひとびとを隔てる銀の糸を手繰って

 

 

カーディガン三着そろえ四つ目の色が君への気持ちに近い

 

 

死にたいと言うなら横のボタン見て イージーモードに下げれるからね

 

 

じいさんはじいさんのにおい 若者は若者のにおいさせて吉野屋

 

 

これまでに出会った大事な人達のうちの誰かのように桜は

 

 

「春の」って付けるだけでもそれらしくなるからやめた春の約束

 

 

今日海が青かったことそのことを知ってる側になれてうれしい

 

 

 

 

※2015年1月~12月に『短歌人』に掲載されたものをまとめました。