Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/短歌のことを書いていこうと思ってます。

「草笛」12首

草笛   笹川諒

 

 

春の野のサブリナに会いにゆくだろう 生きているなら風も吹くから

 

とりあえず仲良くなれるはずなのは前世が羊飼いだった人

 

歩くとき虹を見つける人だった 白のトレンチコート、会いたい

 

その節はただ散ることが怖かったガラス細工のリンドウでした

 

字ならF、色なら青磁マリンバが確かめあって鳴るような人

 

僕たちはトマト一個に含まれるリコピン分のキスをしていた

 

午前二時サボテンに水をやりながら聞いた子猫の声は空耳

 

あたたかな気持ちになって寝たくってオレンジのパプリカを思った

 

繁茂するイルミネーション 僕たちはカタカナの水草で寄り添う

 

寒くなることを確かさだと数え指一つ折り三叉路をゆく

 

サンサーラ)草笛として(サンサーラ)夜の砂漠を這う風として

 

ああそれはきっと綿雪の降る朝に黒と白から生まれた緑

 

 

※『短歌人』2015年7月号より