Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/短歌のことを書いていこうと思ってます。

「北限のヒマワリ」15首

北限のヒマワリ   笹川諒

 

 

かなしみはかけら かけらの僕たちは小箱を一つ互いに渡す

 

喩としてのあなたはいつも雨なので距離感が少しくるう六月

 

陽のひかり薄らぎながら遠のいて真昼 記憶が多めに消える

 

音楽学の「がくがく」の音が楽しいね そう言った人は死んでしまった

 

スマホにはケースを買って(なぜだろう)団地に住みたくなる夏の午後

 

山肌よ 削られてゆく美としての一部始終を示してくれる

 

それはもうたたかいなのだせかいとのただしいきょりをまたえるための

 

紺碧の鳥かごをさげ会いにゆく(使わないけど、持っておきます)

 

これ以上乗ってこないで 乗客が目と目で唱和するわらべうた

 

舞い落ちる枯葉のふりをしてたけどそれは雀で僕が見ていた

 

いつもより小さく座る ヒマワリの北限の島のような静けさ

 

えそらごとばかりの道でおにぎりを食べる どうしてこんなくるしい

 

旅先で買った小さなビニールの傘をなぜだか使い続ける

 

過ぎてゆくものを数えて花になるそんな世界でまた会いましょう

 

大丈夫、かなしくたって内側はごくさい色の雪 きれいだよ

 

 

※『短歌人』2016年1月号より