万華鏡ひとつ廻してあざやかな藍のうらがは過去となしたり (三島麻亜子)
祈る人はやがて小さな石になりその石をまた祈る人あり (古賀大介)
なぜだろう昨日と似すぎている今日 時間感覚分からなくなる (上村駿介)
いつからかきみ棲みたればわが胸の内たはつするふゆのふしんび (鈴木杏龍)
洋梨の置かれたままのテーブルを思えば今日はもう帰りたい (葉山健介)
朝霧のなかに鞄が揺れていくおはようおはようまたきっと泣く (相田奈緒)
居酒屋の出口にあった飴玉をそんなに嬉しそうにくれるなよ (山本まとも)
冷えた音を夜空は吸わずショッピングカートを押してゆく駐車場 (黒﨑聡美)
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今月の『短歌人』に掲載されている短歌から、単純に好きだと思った歌、なぜか頭から離れない歌、後からもう少し意味を考えてみたいと思った歌等々、特に印象に残った8首を選びました。あ、歌の順番は掲載ページ順です。正直、『短歌人』にはものすごくたくさんの短歌が掲載されていて、とても一ヶ月内に全部は読みきれません。。だからこそ、たまたまめくったページで見つけた短歌との出会いは大切にしたいなと思います。