Ryo Sasagawa's Blog

笹川諒/「短歌人」所属/「西瓜」「ぱんたれい」同人

最近の活動まとめ(2019年)

最近の活動まとめ(2019年11月28日更新)

 

・自選三十首 ※2018年10月くらいまでの「短歌人」掲載歌が中心

自選三十首 - Ryo Sasagawa's Blog

・「ネプリ・トライアングル(シーズン3)」第一回 「手に花を持てば喝采」10首

「手に花を持てば喝采」10首 - Ryo Sasagawa's Blog

・「夏と秋」マガジン第7号 「アンバサが好きだった」8首

「夏と秋」マガジン 第7号|夏と秋|note

・「仙藥」vol.4 「てとりす」7首

七月堂(東京・明大前)、水中書店(東京・三鷹)、古書ソオダ水(東京・早稲田)、葉ね文庫(大阪・中崎町)で購入可能。

仙藥【新本】 | 七月堂古書部

・「詩客」2019年5月4日号 「涅槃雪」10首 

涅槃雪 笹川諒 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

・「詩客」2019年6月1日号 短歌相互評第39回

短歌相互評第39回 笹川諒から上篠かける「春の」へ - 「詩客」短歌時評

歌人リレー企画「つがの木」

自己紹介、自選5首に加えて、ネットプリント「ウゾームゾーム」の瀬口真司さんの短歌を紹介しています。

歌人リレー企画「つがの木」〜ネット歌人編〜第11回 笹川諒さん - 短歌プラットフォームさんばし

・「現代短歌」2020年1月号 「水の聖歌隊」10首抄

第7回現代短歌社賞佳作「水の聖歌隊」300首の10首抄と選評(本文中に15首が引用)が掲載されています。

現代短歌社オンラインショップ

・「短歌人」 会員1欄に毎月6首載っています。

「前衛短歌と聞いて真っ先に思い浮かぶ一首」2018年11月号

「八十周年記念号を読んで」2019年7月号

20代・30代会員競詠「夏のチェンバロ」8首 2019年8月号

年末恒例題詠「抽斗の中のものを詠う」1首+小文 2019年12月号

今月の二人「ズブロッカ」14首+相互評 2020年1月号

など。

短歌人

・「ぱんたれい」vol.1 「ビードロ」10首ほか

同人:笹川諒・三田三郎、ゲスト:石松佳(詩)・西村曜・法橋ひらく。

BOOTHによる通販を行っています。

「ぱんたれい」vol.1 - ぱんたれい - BOOTH

購入可能な書店の一覧は以下をご覧ください。

『ぱんたれい』vol.1販売情報(随時更新) - Ryo Sasagawa's Blog

・「MITASASA」詩・短歌・川柳のいずれかが載っています。

三田三郎さんと発行しているネットプリント。毎回ゲストを一人お迎えしながら、定期的に配信しています。

【寄稿】「詩客」2019年5月4日号

ウェブサイト「詩客」に、新作10首を寄稿しています。タイトルは「涅槃雪」です。「詩客」はよく読んでいたサイトだったので、参加できてとても嬉しいです。また、来月には上篠かけるさんとの相互評も掲載される予定です。そちらも合わせてぜひご覧ください。

 

以下のリンクよりお読みいただけます。

涅槃雪 笹川諒 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

ネプリ『MITASASA』第6号

ネットプリント『MITASASA』の第6号が出来ました。

 

短歌:三田三郎、多賀盛剛(各10首)

詩:笹川諒(1篇)です。

 

今回は多賀盛剛さんがゲストです!

 

【出力方法】

セブンイレブン →29898822

ローソン他コンビニ →45QEQLPQQ7

A3、白黒1枚、20円です。よろしくお願いします!5月9日までです。

 

ずっと神の救いを待ってるんですがちゃんとオーダー通ってますか

/三田三郎「待ってるんですが」

 

おりたあと、ぼくもでんしゃも、ちょっとだけ、おんなじはやさですすむん、すきで、

/多賀盛剛「春」

 

笹川は去年『現代詩手帖』で選外佳作だった詩を載せてます!

【寄稿】『仙藥』vol.4(「てとりす」7首)

大橋弘さんが編集人の『仙藥』vol.4に、ゲストとして「てとりす」7首が掲載されています。お読みいただけますと幸いです。

 

・『仙藥』とは…?

小島浩二(詩)、綾部宏子(俳句)、大橋弘(短歌)の3者による同人誌(『仙藥』のtwitterアカウントより)。

 

・どこで手に入るの…?

東京→古書ソオダ水、七月堂

大阪→葉ね文庫(近日入荷予定)

で購入可能です。

 

それでは気になる『仙藥』vol.4の中身を少しだけ紹介したいと思います!

 

永き日や祖父の遺影にほくろあり/綾部宏子「永き日」(俳句)

 

「永き日」は春の季語。春になって日が長くなることで、心にどこか余裕が生まれたからなのか、今まで意識していなかった祖父の遺影のほくろに目が留まる。遺影は春のやわらかな日差しに照らされている。掲出句を含め、春を迎えた喜びが優しくただよう一連。

 

小島浩二「日々のかけら」(詩)

 

作品からの抜粋は難しいので残念ながら割愛。日々降り積もっていく記憶が、道端に落ちているささやかなもの(小石、ゴム玉、おはじき…)として可視化されているような印象。読むと温かい気持ちになれる一篇。

 

眠いけれどバナナ室から出てきたと思えば今日もだまし討ちです

大橋弘「おにぎりの具に詰めるとしたら今昔物語」(短歌)

 

何という連作タイトル(!)。「バナナ室から出てきた」に面食らってしまうが、よく読むとたしかに、「バナナ室」(バナナの生育に適した温度・湿度等を保った、ビニール温室だろう)のバナナたちは騙されていると言えるではないか。大橋さんの愉快な短歌、新作17首が収録されています。

 

また、作品に加えて、同人の方々の読み応えのあるエッセイもあります!

かわいい猫のイラストの表紙が目印の『仙藥』vol.4、ぜひお読みください~。

『MITASASA』第5号、相互評

三田三郎さん、ゲストの水沼朔太郎さんと発行したネットプリント『MITASASA』第5号の相互評を公開します。ネプリの配信は4月12日金曜日までとなっておりますので、まだの方はぜひお読みいただけますと幸いです!

 

駅前に成長痛を響かせて養生された塔がまた伸びる/三田三郎

 

「いざ出勤」七首中の一首。他の歌には一社会人の出勤が読み取れる単語が散りばめられているが、この歌にはそういった単語がない。強いて読めば〈成長痛〉が反社会人的な意味合いを持つが、その反社会人的な言葉が〈塔〉を成長させるという。東京タワーや通天閣を見ればわかるように〈塔〉は成長を加速させるものだ。しかしながら、この歌では〈成長痛〉が〈塔〉の栄養分となる。〈塔〉が社会ではなくわたしを反映している。そこにこの歌のおもしろさがある。<水沼>

 

この星の何割ほどを、いや、きっと一割も知らずに蜜柑剥く/笹川諒

 

「この星の何割ほどを」と言ったところで、作中主体はその問い方自体の不遜さに気付く。そしてその後、「きっと一割も知らずに蜜柑剥く」。これは反省か開き直りか、いずれにしても実にキュートな態度である。最後に行為を置くことで作中主体を俯瞰するアングルに切り替わる展開も良い。ただ、この歌の魅力というか凄みはもっと先にある。どうも作中主体は、「蜜柑」を「剥く」ことによって、つい先程まで自らも前提していたのとは別の方法で、「この星」を知ることに挑もうとしているように思えてならないのだ。それは不遜でも反省でも開き直りでもなく、全く以て真摯でマジな態度とアプローチで「この星」を知ろうとする挑戦である。<三田>

 

安田大サーカスみたいに大人気 永井祐たのしく暮らしてる?/水沼朔太郎

 

一首評ではなく連作評になることをご了承いただきたい。というのも今回の水沼の連作は、もちろん一首単位で見ても普通に秀歌はあって(個人的には特に五、七、十一首目等)、それに絞って述べても良いのだが、そのような言及の仕方は、どうも作者がこの連作に込めた意図に反するような気がするのだ。

 

夢の中でもぼくは眠ろうこれが噂の(これが噂の)ねむりの二重螺旋構造/水沼朔太郎

どう たのしい OLは 伊藤園の自販機にスパイラル状の夜/永井祐『日本の中でたのしく暮らす』(以下、永井の歌は全てこの歌集から引用)

 

上の今回の連作一首目の歌と、下の永井の歌の関連性はツイッターでQ短歌会の森さんが指摘されていて、なるほどと思った。「これが噂の」が、永井の歌に書かれている例のやつ、ということを含意しているのだろうか。連作はこの一首から始まり、永井祐的な要素を含んだ歌が続いてゆく。

 

10分前に仕事着になる出発の時間になるまでじっとしている/水沼朔太郎

30分待つハメになる 着メロはバスの発車の音にまぎれた/永井祐

 

連作二首目。具体的な数字への妙なこだわり、また数字を全て全角で表記するなど、永井の歌の特徴が見られる。まだ今回のネプリを出力していない読者の方もいると思うので、歌自体を引くのは避けるが、四、六、七、八首目も時間の話題が出てくる(連作のタイトルが「10日と2時間」なので、当然と言えば当然だが)。

 

ぼんやりとしていて5分むだにした 右左から光が入る/永井祐

 

永井はとにかく時間に細かく、その作品世界においても大きな主題となっている。その「時間」を、今回水沼は連作の主題として選択しているのだ。

 

終着駅まで降りないことを良いことに一駅ごとに見る混み具合/水沼朔太郎

帰りの電車二駅分をおしゃべりし次の日ふたりとも風邪を引く/永井祐

 

連作十一首目。一駅一駅を意識するミクロな視点、そしてその観察から導かれるきわめてドライな抒情、という点ではこの二首は共通していると言える(全体の歌意は全然違うけれど)。そしてそれが言うなれば、永井の歌の大きな特徴でもある。

 

俺だって駅のホームでにやにやと触られたことありますよ 0円/水沼朔太郎『ベランダでオセロ』

パーマでもかけないとやってらんないよみたいのもありますよ 1円/永井祐

 

さて、ここまで水沼の今回の連作にいかに永井祐的な特徴が見られるかを述べてきたが、それは決して無自覚的なものではないということが、上に挙げた合同歌集『ベランダでオセロ』の中の「おでこの面積」所収の歌を見ればすぐに分かるだろう。平岡直子が「日々のクオリア」(2018年12月7日掲載分、https://sunagoya.com/tanka/?p=19593)で、「若手歌人の歌を追っていて、いいな、おもしろいな、と思っていた歌人が気づいたら永井祐っぽくなりすぎてる現象がときどきある。別バージョンでは大森静佳っぽくなりすぎてる現象もときどきある。このふたりの似られかたはすごいと思う」と述べているように、現在、永井祐の作風は数多くの若手歌人によって(多くは無意識のうちに)模倣されている。連作最後にあたる十二首目<安田大サーカスみたいに大人気 永井祐たのしく暮らしてる?>の「大人気」はそのような状況をある意味で揶揄しているのだろう。「たのしく暮らしてる?」はもちろん、永井の第一歌集『日本の中でたのしく暮らす』に由来するわけだが、「そのような前述の状況を、永井さんどう思いますか?」という水沼から永井への、さらには(主に若手の)歌人全体への問いかけなのである。

 

そのような異議申し立てを、テーマ設定を含めて、きわめて意識的に永井祐の手法を盛り込みながら今回の連作を水沼が編んだ、という視点から今回の「10日と2時間」を読むと、より面白く読めるのではないだろうか。最後に、十二首目の「安田大サーカスみたいに」だが、これは「一発屋」という含みがあるのかもしれない。もちろん、安田大サーカス一発屋芸人であるかどうかという問題、また、永井祐はこれだけ影響力を持っているのに一発屋とはとても言えないのではという問題もあるので、そこまで強い意味ではなく、第一歌集が刊行されて評判になってから相当期間経っているけれど、第二歌集はまだ出ないの?というようなニュアンスなのだろう。

 

永井祐の第二歌集のタイトルは『57577』だと思う/水沼朔太郎『ベランダでオセロ』

<笹川>

ネプリ『MITASASA』第5号

ネットプリント『MITASASA』の第5号が出来ました。

短歌:三田三郎、笹川諒(各7首)、水沼朔太郎(12首)です。

今回は水沼朔太郎さんがゲストです!

 

【出力方法】

セブンイレブン →66052608

ローソン他コンビニ →45QEQLPQQ7

 

A4、白黒、両面(短辺とじ)、40円です。よろしくお願いします!

配信は4月12日金曜日までです。

 

【連作のタイトル】

三田三郎「いざ出勤」

笹川諒「曼荼羅の詩」

水沼朔太郎「10日と2時間」

『短歌人』2019年4月号の、好きな歌10首(会員欄)

子と夫に呼ばれ続ける一生の吹雪の窓に咲く君子蘭(小原祥子)

 

あを以外アリスのドレスを何色に塗るか悩みて過ごすひねもす(岡本はな)

 

食塩水ばかり作らせる教科書の文章題をココアに代える(柳橋真紀子)

 

ことば言葉ことばの合間に山茶花がちらほら咲いている真夜中の(千葉みずほ)

 

うちテレビないんですよと言うときの感じを今は思い出せない(山川創)

 

旅をしようよものすごくにらむ猫の耳に西日が当たっている(国東杏蜜)

 

過ぎ去ったバス停横のベンチには死の入り口が腰掛けていた(鈴木秋馬)

 

総務部ができて半年 総の字を好きだと思う 代印を押す(山本まとも)

 

大きめの旅行鞄に文庫本一冊入れて列車でゆこう(田上暁子)

 

日常で作られているわたくしの体はどんな味であろうか(笹渕静香)

 

※掲載ページ順です。万一誤字・脱字等ありましたら、すみません。